少女アンナの瞳に映る母と娘、男と女の愛の物語
1960年代初めのドイツ郊外、草原を駆け抜ける一人の少女がいた。少女の名はアンナ、11才。父親はいないが、母親のソフィーと幼い弟のローリーと親子3人明るく毎日を過ごしている。父親であるはずのフリッツの記憶はアンナにはない。ソフィーから聞かされたのは戦争に行って戦死したこと、近所の工場を経営している短気なフランツの弟であったということだけだった。
父親がいない事にアンナ自身不満はなかったが、気がかりなのは愛する夫を失ってから仕事もせずに酒に溺れる毎日を送る母ソフィーの事だった。当然のごとく生活は苦しく途方に暮れていたある日、ソフィーはアンナにフリッツが実はまだ生きていて、フランスのどこかで暮らしている事を告白する。『死んだはずのパパが生きている!』―アンナは嬉しかった。いつか父親に会える事を夢見て前向きに生きて行ける。ソフィーもアルコール中毒での入院から回復し、家族が幸せになりかけたある日、一通の手紙がソフィーの元に届いた…。そこには意外な事実がアンナを待っていた。アンナはほんとうの父親に会えるのか?アンナの瞳に映るのは…。
主人公のアンナを演じるのは、ドイツ国中でのオーディションによって抜擢され、本作がスクリーンデビューとなった、アリス・ディーケリング。デビュー作とは思えない演技もさることながら、彼女の大きく力強い瞳が、主人公アンナの辛く苦しい生活の中でも明るく前向きに生きる様を一層際立たせている。アンナの母親ソフィーを演じるのは、オランダ出身で、ポール・バーホーベン監督作品やハリウッド作品の出演経験等、国内外で活躍しているベテラン女優のレネ・ソーテンダイク。
監督は本作が長編映画初監督となる、ウラ・ヴァグナー。初監督とはいえ、これまでのTV作品や短編映画の製作、演出、脚本、編集の経験を生かし、60年代ドイツの田舎町の風景や人々の生活を見事に再現し、母と娘、男と女の愛の物語を女性らしい視点で描いている。
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