青く広い海は わたしのすべて 映画『鏡は嘘をつかない』

漁に出たまま帰らぬ父。インドネシア、ワカトビの島々と美しい珊瑚礁の海を舞台に、残された母と娘の希望と再生の物語。

6月4日(土)より、岩波ホールほか全国順次ロードショー

Awards 受賞歴

2011年 東京国際映画祭 トヨタ・アース・グランプリ

2011年 インドネシア映画賞 最優秀新人監督 審査員特別賞、最優秀新人俳優 審査員特別賞(ギタ・ノヴァリスタ)、最優秀音楽賞、最優秀脚本賞

2011年 マニラ国際映画祭 スペシャル・メンション2011年 ムンバイ国際映画祭 ヤング批評家賞2012年 アジア太平洋映画賞 最優秀児童映画賞2012年 香港国際映画祭 国際批評家協会賞2012年 台北映画祭 スペシャル・メンション

『鏡は嘘をつかない』カットイメージ

 

Introduction & Story ― イントロダクション&物語 ―

漁に出たまま帰らぬ父。インドネシアの美しい珊瑚礁の海を舞台に、残された母と娘の、希望と再生の物語。
インドネシアのワカトビという美しい海域。ここには“海のジプシー”といわれる漂海民のバジョ族が暮している。10歳の少女パキスは、漁に出たきり戻ってこない父の無事を信じて、自分の鏡に父の姿が現れることを、ひたすら願っていた。バジョ族にとって鏡は人やものを探すときに用い、真実を映す神聖なものだ。母はそんな娘を心配するが、彼女も夫の死を受け入れられず、その不安を隠すように顔を白塗りにしていた。ある日、イルカの生態を研究する青年トゥドが村にやってきて、彼女たちの日々は少しずつ変わっていく…。
世界遺産ワカトビの息をのむ美しい映像。豊かな海の恩恵を受けて生きる海の民バジョ族の暮らし。
映画では、海で生まれて海で死ぬといわれる漂海民バジョ族の暮らしが丁寧に描かれている。浅瀬にたてた高床式の小屋で、豊かな海の恵みを受けながら生活する村人たちの描写は、新鮮で興味深い。
みずみずしく夢見るような感性。世界の映画賞に輝いたインドネシアの新たなる才能!
インドネシアのカミラ・アンディニ監督は、10代の頃からダイビングをとおしてワカトビの海とバジョ族の文化や風習に魅了されてきた。本作は、自然に関するドキュメンタリー映画を多く製作してきた彼女の初の長編劇映画である。インドネシアを代表する映画監督であり、アンディニ監督の父であるガリン・ヌグロホがプロデューサーを務め、ワカトビ県や世界自然保護基金(WWF)の協賛を得て製作された。

 

Director’s Notes ― カミラ・アンディニ監督の言葉 ―

― 海について ―
インドネシアは多島海の国なので、海が、国土のほとんどの領域を占めています。だからこそ、私たちはインドネシアを“祖国=水の国”と呼ぶのです。それでもなお、私たちは、インドネシアを農業国として捉えているため、土地が重視されています。この映画は、インドネシアの第二の部分である、“水”の世界とその内容について描きました。
― 鏡について ―
鏡とは、バジョ族が失せ物を探したり、人を探す際に用いる文化的な道具です。それと同時に、鏡は常に女性と結びついています。少女たちは、鏡を見ることによって、成長していくのです。また、私にとって鏡とは、希望のシンボルであり、自らを映し出すものであり、また探求するもでもあります。
― 希望について ―
そうした背景から、この映画は、インドネシアの海を、希望という視点で描こうとしています。少女はある鏡の存在によって、行方不明になってしまった彼女の父親が海から帰ることを待ち続け、希望を持ち続けるのです。インドネシアでも世界の他の国でも、気候変動は年々、予測不可能になってきています。こうした変化は現在、漁師たちの生活に葛藤を生み出しています。海は彼らに対して、もはや昔のように友好的ではないため、漁師たちは前のように海をよむことが出来ないのです。さらに、天然資源の開発が、海岸の生物相に関わる人々を新たに引き寄せており、また、漁師たちの生活を支える資源も減少しているのです。
― 映画について ―
私は、自分の長編映画デビュー作を通して、世界の人々に、インドネシアの海や海岸の生活についての理解を広めようと思いました。もちろん、私がこの映画を作る際に熟考した、その他の様ざまなアイデアも、映画の中に織りこまれています。それは、個人と社会における、自然の喪失や疎外についてです。

 

Director’s Profile ― 監督プロフィール ―

監督:カミラ・アンディニ Kamila Andini
1986年5月6日、ジャカルタ生まれ。中学時代からダイバーと写真家になることを熱望していたという。高校時代からドキュメンタリーや短編映画を撮り始め、オーストラリア・メルボルンにあるディーキン大学に進み社会学とメディア・アートを専攻した。ドキュメンタリーの映画監督としてキャリアをスタートさせ、WWF(世界自然保護基金)のために数本のドキュメンタリーを、インドネシアのサンゴ礁保護プログラムCoremapのために、ウミガメと珊瑚礁に関するドキュメンタリーを撮った。その後はアシスタント・ディレクターとして、長編映画やテレビシリーズの現場に入り、経験を積んだ。これまでに、テレビ映画や、音楽や民族に関するテレビのドキュメンタリーシリーズ、ロックバンドSlankのミュージックビデオや、子ども向けのウミガメのドキュメンタリードラマを製作。本作「鏡は嘘をつかない」が、長編映画デビュー作となる。
本作で、インドネシア国内のみならず世界各国の映画賞に輝いた他、オーストラリア政府のYoung Outstanding Alumni Awardや、香港で行われたアジア映画ファイナンシャルフォーラムにおいてWouter Barendrecht Awardsを受賞した。最新作は、短編「Sendiri Diana Sendiri」(2015)。

 

Cast Profile ― キャストプロフィール ―

母タユン(TAYUNG):アティクァ・ハシホラン(Atiqah Hasiholan)
 1982年、1月3日生まれ。モナシュ大学を2006年に卒業後、女優の道に進み、インドネシアを代表する監督ニア・ディナタ(Nia Dinata) の 「ベルバギ・スアミ/Berbagi Suami」(2006) で映画デビュー。その後、様ざまなジャンルの映画で多彩な役を演じ、その才能を示してきた。初主演作は、ホラー映画 「サスターN/Suster N」(2007)。一方で恋愛映画 「チンタ・セタマン/Cinta Setaman」(2008) で別の側面をみせ、インドネシアの個性派監督ジョコ・アンワール(Joko Anwar) の心理スリラー 「ピントゥ・テルラング/Pintu Terlarang」 (2009)にも協力するなど、これまでに幅広いジャンルの作品に出演し、その演技力はインドネシアで高く評価されている。
また、彼女の母親ラトゥナ・サルンパエット(Ratna Sarumpaet)は、社会的な影響力のある芸術家・活動家であり、監督である。
トゥド(TUDO):レザ・ラハディアン(Reza Rahadian)
1987年、3月3日生まれ。モデルの登竜門である、トップゲスト・アネカ・イェス!(Top Guest Aneka Yess!)に出場し、モデルからキャリアをスタートさせた。
数本のテレビドラマに出演後、俳優として2007年にデビュー。2009年に主演した 「ペレンプアン・ベルカルング・ソルバン/Perempuan Berkalung Sorban」で、インドネシア映画フェスティバルの最優秀助演男優賞を受賞。2010年にも、「3ハティ、2デュニア、1チンタ/3hati,2dunia,1cinta」 で、同フェスティバルの最優秀男優賞を受賞している。.
パキス(PAKIS):ギタ・ノヴァリスタ(Gita Novalista)
12歳のバジョ族の少女。
ルモ(LUMO):エコ(Eko)
11歳のバジョ族の少年。
クッタ(KUTTA):ザイナル(Zainal)
11歳のバジョ族の少年。

 

Staff Profile ― スタッフプロフィール  ―

プロデューサー:ガリン・ヌグロホ(Garin Nugroho) 1961年、6月6日、ジョグジャカルタ生まれ。インドネシア大学の法学部を卒業した後、ジャカルタ芸術大学で映画製作を学んだ。インドネシアを代表する新世代の映画監督。彼の映画は、カンヌやベルリンといった世界各地の国際映画祭で上映されている。社会的・政治的な題材のドキュメンタリーを数多く撮影し、インドネシアのドキュメンタリー映画界のパイオニアとなった。ヌグロホのドキュメンタリー映画は、アジアで最も優れたものとみなされている。その対象は、スンバ、パプア、アチェ、ジャワと、多地域にわたり、またテーマも、パプアの政治的なアイデンティティから、1965年の軍事クーデター、ストリート・チルドレン、神話の新しい解釈など、インドネシアの多種多様な文化を描いている。
代表作は、「オペラ・ジャワ」(2006)。日本では、実際のストリート・チルドレン達と、インドネシアを代表する女優クリスティン・ハキムが出演した 「枕の上の葉」(1998)が、岩波ホールで公開されている。

プロデューサー:ナディネ・チャンドラウィナタ(Nadine Chandrawinata) 1984年、5月8日、ドイツのハノーヴァー生まれ。2005年度のミス・インドネシアである。インドネシアへの愛と、ダイビングの趣味が高じたナディネは、インドネシアのWWF(世界自然保護基金)の、海洋部門の最大のサポーターとなった。これまでに、ガリン・ヌグロホが監督した、インドネシアのロックバンドSlankに関する映画「Generasi Biru」(2007)に出演している。「鏡は嘘をつかない」で、ガリン・ヌグロホ監督とインドネシアのWWFと共に、初めてプロデューサーを務めた。

Director’s Notes ― カミラ・アンディニ監督の言葉 ―

スタッフクレジット

6月4日(土)より、岩波ホールほか全国順次ロードショー